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【第2回】商取引以外の場でも活用されつつあるブロックチェーンシステム

IT・Webコラム

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第1回ではブロックチェーンの成り立ちや仕組み、商取引における共有台帳の利用などについてご説明しました。実はブロックチェーンテクノロジーが活用可能なフィールドは、何も商取引の場面ばかりではありません。

商取引以外の現場で活用されている事例をいくつかご紹介しましょう。

複雑な著作権管理についてブロックチェーンを利用して実現

ブロックチェーンによる台帳管理を商取引以外の場面で活用しようとする動きの中で、最も先行しているのがクリエイターの著作権を管理する共有台帳の仕組みです。

2015年にスタートしたアメリカのサンフランシスコにある新興企業「Blockai」において、イラストやグラフィックアート、写真などの作品に著作権者のクレジットを記録しデータベース化(=共有台帳化)するシステムを開発しています。

これにより、イラストレーターやデザイナーなどのクリエイターは、Blockaiが開発したアプリに自分の作品データをドラッグ&ドロップで登録だけで著作権に関する証明書を入手することができるようになり、永続的に権利を保護することが可能となります。例えばネットに第三者が作品データを二次的に使用する際にはアラートを出し、第三者へ正当なライセンス契約を促すことができるようになるのです。

このシステムの特徴は、クリエイター側の登録が無料であり、二次使用するクライアントとのライセンス契約を仲介する際の手数料を主な収入源にするところにあります。これにより、クリエイターの著作権を悪意による改変や改ざんから守るビジネスとして注目を集めているのです。

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学位・資格証明という市場でも活用の道がある

ブロックチェーンによる共有台帳の仕組みは、従来では紙などによる証明が主だった市場での活用に参入するケースが続いています。第1回で述べたダイヤモンド取引もそうですが、モノやヒトに対して何かしらの証明が必要な場面、かつ改ざんが可能である証明書が運用されている取引において、ブロックチェーンテクノロジーが活きてくるということです。

就職活動時に虚偽の情報を提示するケース

就職活動において、学歴を詐称することは法律的な罪に問われます。しかし、少しでも有利な条件で就職しようとするために卒業証明書を偽造し学歴を詐称するケースが後を絶ちません。

実はアメリカでは人材スクリーニング事業をおこなっている「HireRight」という会社があります。HireRightでは、人材採用時の信用調査を企業から委託され、求職者が提出する履歴書の精査をおこなっているのですが、実に8割近くの履歴書から何かしらの虚偽や間違いが発見されているそうです。

しかし、仮に虚偽があったとしても、そのチェックにはかなりの時間とコストを費やすため真偽の確認を怠るケースが多いといわれています。

採用時の学歴詐称を防ぐシステム

履歴書の虚偽の中でも、学歴詐称は学校側の信用問題にもつながるため何かしらの対策が求められていました。また、学歴だけでなく、資格情報や成績なども不正に利用されることを防ぐことが必要であると叫ばれています。

そこで登場したのがブロックチェーンによる学位認証の仕組みです。アメリカのシリコンバレーにある「ホルバートンスクール」は、優秀なソフトウェアエンジニアの育成を目的に設立された学校ですが、教育機関として初めてブロックチェーンによる学位認定の仕組みを構築しました。

シリコンバレーという土地柄、エンジニアは頻繁に転職を繰り返します。そこで、学校の卒業生に対しブロックチェーン上で発行される証明書を発行、採用企業側はブロックチェーンにより学歴の真偽を用意に判断できるようにしたのです。

より優秀な人材を採用するために

また、教育機関が独自に取り組むだけではなく、大学や機関を問わず発行された証明書などの情報をブロックチェーン化し、人材採用を行う企業と共有する仕組みを創りだしている会社が存在します。

ソニーの子会社であるソニー・グローバル・エデュケーション社では、大学をはじめ資格団体やその他の教育機関によって発行された学位、成績表、合格証などの記録をブロックチェーンに記録して共有するシステムを開発中です。

完成すれば、学歴はもちろんのこと、在学中の成績や資格の有無、各カリキュラムの習熟度やテストの結果などを企業と共有することができ、企業側による実力判定のために新たな採用テストなどをおこなう手間が省けます。これにより、コストをかけずに優秀な人材の採用を行う仕組みを生み出そうとしているのです。

www.sony.co.jp

このような動きは各方面に広がっており、ブロックチェーンテクノロジーは既存の集中管理型ビジネスから分散・共有型ビジネスへと変革するひとつのきっかけを提供しています。次回はそのビジネスモデルの変革についてお話しします。

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