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【第1回】ますます注目を集めるブロックチェーンによる共有台帳システム

IT・Webコラム

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ブロックチェーンの技術を活用した共有台帳システムが近年脚光を浴びています。従来の集中管理型データベースとは異なる運用形態を持つブロックチェーンによる分散型データベースは、主に共有台帳システムの構築において活用されており、今後の動向をふくめて無視することはできません。

今回はこのブロックチェーンによる共有台帳システムについて、導入の背景や今後の展望などについて全3回に分けてご説明いたします。

そもそもブロックチェーンとは?

最初に、ブロックチェーンとはどのような仕組みなのかを簡単にご説明しておきます。ブロックチェーンが注目を集めるきっかけとなったのは、仮想通貨であるビットコインの取引システムに採用されたという事例です。

ブロックチェーンテクノロジーは、これまで集中管理型であった取引データベースの運用を、世界各地に分散させ互いのデータベースを同期(=マイニング)させることにより、データベース同士が監視し合う仕組みを構築しました。これにより、仮に一部のデータベースが悪意により改ざんされたとしても、他のデータベースの監視によりその改ざんは無効になるのです。

集中管理型との違い

集中管理型データベースにおいては、信用のある管理者がそれを管理し、管理者が誤らない限り、取引データは整合性をもって更新されます。しかし、悪意を持った攻撃によりデータベースが改ざんされると、誤ったデータのまま取引が進められてしまいます。したがって、厳重なセキュリティや信用のある管理者の確保など、必然的に高コスト運用になります。

対するブロックチェーンでは、分散してデータベースを管理し、データベース同士が相互に監視し合うため管理者不要です。また、集中管理型と比べひとつのデータベースサーバ構築をコストをかけずにおこなえるため、全体的に低コストで構築することができます。

資産を守るための”信用”をシステムにより構築する

このように、ブロックチェーンの最大のメリットは、これまで法人や組織に依存していた取引の「信用」を、システム側に持たせた点にあります。例えばクレジットカードによる取引では、そのクレジットカード会社が責任を持って取引データベースを更新します。しかし、ビットコインのような仮想通貨は特定の企業が運用しているわけでは無いため、ブロックチェーンにより「信用」を担保し、全世界での取引を実現しているということです。

背景には増大する電子商取引市場の存在

このように、ブロックチェーンが脚光を浴びている背景として、近年増大する電子商取引の存在が挙げられます。特にクレジットカードによるショッピング利用額は増加の一途をたどっており、以下の様にここ10年で2倍近くに増加しています。

【クレジットカードによるショッピング利用額(国内)】
・2005年………26兆3,055億円
・2008年………33兆4,737億円
・2010年………35兆9,800億円
・2013年………41兆7,915億円
・2015年………49兆8,341億円
※出典:一般社団法人日本クレジット協会

クレジットカード、あるいは銀行振り込みによる商取引は「非現金取引」と呼ばれており、実際の現金による取り引きと異なり電子データの移動で決済がおこなわれます。こういった非現金取引はネットショッピングのみならず、日常に利用するスーパーなコンビニなどの店舗においても現金ではなくクレジットカードによる決済が増加しているというのが特徴です。

実は銀行預金も「電子データ」である

最も信用できる資産は銀行預金であると考える人は多いのではないでしょうか。いわゆる「タンス預金」は現金を自宅で保管する方法であり、盗難などの危険が伴いますし万が一の火事などにより焼失してしまうリスクも内在しています。しかし、銀行に預けておけばこのようなリスクを回避することもでき、仮に銀行が破たんしても1,000万円を上限として国の預金保険機構が保護してくれるため安心です。

ところで、この「信用」のある銀行預金は、銀行が個人ごとに現金の形で金庫に保管しているわけではありません。銀行預金とは、「個人がこれだけの現金を保有しているという電子データ」に過ぎないからです。しかし、人は安心して銀行預金を利用します。

それは、銀行という存在が「信用」があるからであり、言い方を変えるなら、「銀行が管理しているデータベースを信用しているから」ということです。

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お金に関する電子データを管理する2つのテクノロジー

次に銀行預金やクレジットカードの利用、あるいはビットコインなどによる商取引を記録するデータベースを運用する2種類の方法について解説します。

まずは従来型の取引管理データベースである集中管理型です。こちらは、信用のある企業や組織が関連する取引を把握し、自社のデータベースに電子データとして記録します。わかりやすくいえば、個人の取引履歴や銀行残高はその銀行のみが把握しているという状態です。

次にブロックチェーンの概念です。それぞれの取引はそれぞれのデータベースに記録され、各データベース間は相互に同期しているため特定の個人や組織が勝手に書き換えることはできません。この仕組みの利点は、取引を集中管理する巨大なデータベースサーバが存在しないため、多額の運用コストを省いたP2P型の取引ができることにあります。

すなわち、各個人や組織の取引台帳を全員で共有しているような状態になります。したがって、ブロックチェーン=共有台帳というイメージで議論されることもあります。

「信用」を担保される取引とそうではない取引

これまで説明してきたとおり、例えば銀行取引などは銀行という企業の「信用」が電子データに記載された価値を担保してくれるため、安心して取引をおこなうことができます。また、土地の取引などについても公的機関(法務局)に所有者が登記されているため、資産としての価値を証明することが可能であり、融資を受ける際の担保として利用可能です。

しかし、法的な制度がない高級品やダイヤモンドなどの取引では、モノを紛失したり盗まれてしまったりすれば担保としての価値が無くなってしまうため、ブロックチェーン型の台帳制度を作ることで安全な資産としての価値を高めることが可能となります。

つまり、土地などと同じように、売買の履歴や所有者の情報をブロックチェーンを使い信頼性の高い台帳として記録しておけば、資産価値を高めることができ、銀行融資の担保として活用できる可能性が出てくるということです。

改ざんできない取引の実現

例えばダイヤモンド取引では、鑑定業者が石のグレードを査定することで宝石としての価値が決められ、それを証明する鑑定書を添付する形で売買がおこなわれています。しかし、紙の鑑定書は簡単に偽造や改ざんが可能であり、偽物の鑑定書が数多く出回っています。その被害額は年間で20億ドル(約2,000億円)の規模にもなるそうです。

その点に着目し、ブロックチェーンによる台帳作成事業に乗り出したのが、2015年にイギリスで創業した「Everledger」という新興企業です。

このシステムにダイヤモンドの形状データ、色、カット、透明度、カラットなどが登録されることにより、個々のダイヤモンドを識別することが可能となります。また、そのダイヤモンドがどのような取引をされてきたかという履歴も参照することが可能となります。

EverledgerはこのシステムにアクセスできるAPIを宝石業者や保険会社、あるいは警察機関などに提供することにより、不正な取引や盗品などを判別することが容易になるのです。

www.everledger.io

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